フリオ ゴヤさん
ジャケット ¥63,000 CIRCOLO1901/イタリア
パンツ ¥22,000 TELERIA ZED/イタリア
Tシャツ ¥9,800 MAJESTIC FILATURES/フランス
ストール ¥19,500 ALTEA/イタリア
ポケットチーフ ¥6,500 ALTEA/イタリア
シューズ ¥23,000 DI FRANCO/イタリア
アルベルト城間さん
シャツ ¥15,000 BRANCACCIO/イタリア
パンツ ¥28,000 ALTEA/イタリア
シューズ ¥32,000 PREGIS/イギリス
表記の価格は消費税抜きの本体価格です。
Posted on 2020.10.29
アーティスト
フリオ ゴヤさん・アルベルト城間さん
アトリエの扉が開かれると、押し寄せるカラフルの泉。作品が纏う彩はブエノスアイレスの百群の空、アルゼンチンタンゴのほとばしる炎、サルサ舞う艶やかな海辺。色、色、色。心拍数が歓喜の鐘を鳴らす。ここは、彫刻家フリオゴヤさんの仕事場。城主とともに創作に勤しむのは近年、絵画で注目を集めるアルベルト城間さん。スペイン語が飛び交い、ピアソラが流れ、時に芸術を語り、時に甘いdulce(スイーツ)とcafé(コーヒー)のMerienda(おやつ)の時間を愉しむ。まるで南米の昼下がり。響き渡る声で一瞬にして場をにぎわいに変えるアルベルトさんは、南米の燦々たる太陽のよう。静かに語るフリオさんは、まるで月。対照的な二人は兄弟かのように屈託のない笑顔を共有していた。
1953年、アルゼンチン・ブエノスアイレス生まれ、日系2世のフリオさん。美大大学院を卒業後、彫刻家を志すが、軍事政権が続く中で現代美術が育まれる環境は乏しかった。「アメリカへ行くつもりでしたが、ビザが難しく、両親の生まれた沖縄に行ってみようと思いました」。来日当初、日本はバブル景気に沸き、沖縄では美術展が積極的に開催され、アート界は活力に満ちていたという。一方、アルベルトさんは、1966年、ペルー・リマ生まれの日系3世。19歳の時、音楽コンクールで勝ち取った日本往復チケットを握りしめての来日。日本の心を歌う歌手を夢見て東京の音楽家に弟子入りするも、挫折。「帰国するつもりだった。でもその前にオジイの生まれ島に立ち寄ると、みんなは僕を面白がってくれた。この島で生きる道があるかもしれないと思えたんだ」。”沖縄“と
いうカードを持ち合わせていなかった二人だが、目に見えない遠心力に揺り動かされ、この地にたどり着いたかのよう。フリオさんはダイナミックな鉄鋼材に鮮烈な色を羽織るモニュメンタルな作品で日本の大地に跡を記す。アルベルトさんは、日本人に衝撃的なラテンロックのリズムを芽生えさせ、新境地を切り開いた。
そんな二人の初のアート展「メロディアルテ」。
”メロディとアートのクロスオーバーで元気を呼び起こす“との願いを込めて創作された言葉。「音楽家の彼と美術家の私の融合で何が起きるのか試したい」と、フリオさん。またアルベルトさんは「今、たくさんの人の前では歌えないけど、悲観はしていない。表現者として、できることを挑戦したい」と思いを重ねた。
かつて、フリオさんの名を高めた長野県美ヶ原高原美術館にコレクションされる鉄の大型作品、タイトルは「パチャママ」。なんともかわいらしいサウンド。しかし南米の人にとっては凛とする言葉であろう。「パチャ」は大地。「ママ」は母。ケチュア語で”母なる大地“。南米を縦断する雄峰、アンデスに生きるインカの民が崇拝していた信仰。自然、人間、動物、植物、万物は大地の子であり、大地を尊ぶ精神が宿る。フリオさん曰く「沖縄から遥かかなたのパチャママ、故郷を見つめると、その素晴らしさが心を打つ」。アルベルトさんもまた「Asi como el viento/ 風のように」で「パチャママ」を歌い、「沖縄の神は海。アンデスの神は大地。でも大事なことは同じなんだ」と言う。パチャという懐で生きとし生けるものが放つ色、私たちが暮らすこの美しき島が発する色。実はそれらの色こそが、作品の中に息づいているように思える。
二つの大地に生き、二つの大地から授かった愛でる力を作品に投影し、南米に生まれた月と太陽は、この地で精一杯、軌跡を刻み、輝く。
彫刻家 フリオ ゴヤ さん
1953年、アルゼン・チンブエノスアイレス生まれの日系2世。83年、ブエノスアイレス国立芸術大学大学院修了。85年に来沖。鉄素材を駆使し、立体美と原色使いが特徴。美ヶ原高原美術館賞受賞(88年)。フジサンケイビエンナーレ現代国際彫刻展優秀賞受賞(93年)など受賞多数。また、沖縄県立博物館美術館、コミュニティパーク(アルゼンチン)など大型パブリックコレクション多数。
ミュージシャン・アーティスト アルベルト城間 さん
1966年、ペルー・リマ生まれの日系3世。DIAMANTESのヴォーカル。86年に初来沖。91年にラテンロックバンドDIAMANTESを結成。「ガンバッテヤンド」「勝利の歌」「片手に三線を」など数々のヒット曲を生む一方、近年はアート活動も積極的で2012年以降、毎年、沖展へ出品。また、壁画の制作やグランドピアノへのペインティングなどに取り組む。
■インフォメーション■
「メロディXアート」
パッションがクロスする
出会いから30年、初めての二人展
フリオ ゴヤXアルベルト城間
「 MELODIARTE(メロディアルテ) 」
2020年 10月30日(金)〜11月15日(日)
11:00〜19:00 入場無料
[会場]3F ギャラリー&スペース
お問合せ TEL 098-933-1142
期間中、会場内にてアルベルト城間がピアノペインティングに挑戦!