Posted on 2021.03.03
季節だからでしょうか。
思い出すこと、懐かしむことがやたら多いこの頃です。
もう何年経ったかしら?
そういえばあの人どうしているかしら?
あんなに通ったけど長いこと行ってないね、寂しいね。
少々センチメンタルな気持ちに揺らぎながら、笑っちゃうほど古い歌謡曲を口ずさむ。
摩訶不思議なことに
数日経って、突然懐かしい人が訪ねてくる。
道に迷って立ち寄った辺境の場所で、まさかの再会をする。
これは天空のマジシャンが糸を操っているに違いない。
そして、思い出は美しく爽やかだったことよりも
難あり、トラブル、苦戦、心労、ハプニングが優先的に脳裏に浮かぶ。
だからと言って思い出すことが辛いなんて思わないのが可笑しい。
あの日々があったからこそ、今。万事がありがたきこと、と感謝する。
とはいえワタクシ、かなりのドジッ娘である。
香港の館内放送で突然自分の名前を聞く。
驚いて近くにいた店員に声をかけるとオフィスに連れていかれた。
あなたのクレジットカード盗難にあってますよ。
すでに使用されています。カード名が日本人だったので呼び出しました・・・・。
ミラノの地下鉄。始めてのアイフォンに四苦八苦、移動中ひたすらにらめっこ。
目的地で慌てて降車するときジャケットのポケットへ。降り立ったらすでに空っぽ。
お財布、名刺入れ、パスポート、何度やられたことか。
東京時代(わっ!約40年前?)。社員旅行でグアムへ。
美しい浜辺、星空の下で大ダンシングパーティー。
翌朝早く、テニスするよ!と先輩に起こされフラフラでコートへ。
走りながら目を覚まし、聞こえてきたのはアキレス腱の切れる鈍い音。
初めて乗ったファーストクラス、ギブス付き。
移り変わって約5年前。パリでの商品調達を終えスタッフと共に空港へ。
人気のマカロンを200個買っていざ搭乗。
聞こえてきた機内放送、出発が遅れます。何度か繰り返され一時間経過。
あげく、機体の修復が無理で出発を見送ると通達され、
これから宿泊先へご案内しますが機上でお待ちくださいとのこと。
飛ばぬ飛行機の中で、飲み物のサービス、食事のサービスが始まり、なんと映画を2本!
シャルル・ド・ゴールの一日を小さな窓から眺め、
夕焼けの時間にターミナルに戻り、バスに乗って向かったのは
な、な、な、な、なんとディズニーランド・パリ。
楽しむに楽しめない、楽しむしかないハプニング。
頭や心にギザギザ刺さった出来事は、
時折夢の中でコメディやホラーになって再現される。
ロングフライトで、この時ばかりと複数の映画に浸って、
後でストーリーがぐちゃぐちゃになるのとよく似ている。
この頃は旅に出れない欲求不満も重なってか
行ったことのない国の景色や、未知の言葉まではっきりと聞こえてきて、
自分の創造力に呆れ驚く。
そんな他人の支離滅裂な夢の話を聞かされる方はたまったもんじゃない。
ケラケラ笑いながら話すワタシを心配そうに見ている人のことも考えなきゃ。
コロナ禍にいて早や一年。いつものように美しく爽やかな思い出が紡ぎにくい春。
こどもたちは特に窮屈だろうなあ。どんな思い出が刻まれるのだろう。
幸多かれと願う気持ちが尽きない。
サクラサク春の色を胸いっぱいに。