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la souvenir

Posted on 2020.08.06

Vacances

最後の搭乗記録は2月22日。
そろそろ半年間、島から外に出ていない。
異例の年で旅を自粛しているのは確かだが、
もしかしたら今の方が普通なんだ。
去年の秋、消費税が上がったと同時に思い切って営業時間を短縮した。
あの時の課題は人手不足だった。
パンデミックを避けるため休業要請が発令された4月、
一部店舗の二週間の休業を経て、
さらに営業時間を短縮した。それは今も続く。
陽が沈まぬうちに家路につくスタッフの姿を見ると、
家族や子供達がきっと喜んでいるだろうなぁ、
このままでいいのかなあと思ったりする。
そうやって考えると、
世の中全体何もかもが我武者羅に動いてきたことに気づく。
夢に向かって一生懸命、
自己研鑽する無邪気ながむしゃらはとても美しい。
でもどこかで歯止めが効かなくなってきて
競争心が煽られ、
所有欲が高まり、
流行り物は瞬く間にコピーされ、
怪物化していく我武者羅が生活のあちこちで大手を振って握手をする。
大きく広げすぎた風呂敷は畳むには重く
小さく揺さぶると思わず穴が開いてしまうほど薄いから
これまで通り、計算通りにならないとおおわらわ。
我が身も含め、あちこちから漏れてくる溜息が蒸気となってか
夏の夜がいつもより寝苦しく感じる。

冗談じゃない!
そんなことじゃ困る!
なぜか不思議に無邪気ながむしゃらが目の前に次々と現れる。
育児休暇から戻ってきたスタッフたちの溌剌とした笑顔、
育てる喜びがそこに。

産後一ヶ月の小さな赤子を抱いて訪ねてきたホヤッホヤのママは
結婚14年目で授かった純粋無垢な生命の存在を私にあやからせてくれた。
まっすぐに輝く愛の眼差しは、
すでに彼女を見たこともないほど強くしている。
そうか、女性がたくましくなる一番の理由がここにあるのだ。
生命を紡ぐこと、繋ぐ事。
社会がどんなに大騒ぎだろうが、
絶対にぶれる事なき使命があることを彼女たちが伝えている。
ならば、世の大半を占める母なる存在は、
すでにどうすればいいのか知っているのである。

旅なき日々。
抱く不安は社会に同調しているもので、生活自体は安穏と過ぎる。
いつも思いがけないことが起きる旅先の方が緊張に溢れている。
それでも旅する日々を糧としてきたのは、立ち位置を俯瞰して
気持ちの余白を持つためだったはずだ。
そうだ、自分の島を旅しよう。
今や世界の人が憧れる、美しい我が島『沖縄』を旅しよう。
頭を空っぽにして
静かな海辺で、そよぐ真南風にゆったりと体をあずけバカンスしよう。
BE WELL, STAY WELL, SEE YOU SOON.